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2006年8月4日(金曜日)

 めえにも書いたように、俺様は昭和30年代半ばから40年代前半まで、信州松本で育った。酢蛸じゃねえが、餓鬼の頃の舌の記憶ってのは未だに残ってるもんだ。それでふっと思い出した。


 信州は色々名産の食いもんがあっけど、未だに忘れられねえ味がある。味噌だ。日本各地にはそれぞれ特産の味噌がある。もちろん信州味噌もそのひとつだな。有名な味噌倉も何件もあるしな。
 しかし、俺様が餓鬼の頃に食ってたのは手前味噌だったんだ。親父方のばーちゃんちで毎年でけえ味噌桶で仕込んで いたわけよ。そいつを桶にもらってきて使ってたわけだ。うまかったぜぇ、いまでもあの味噌の味は忘れられねえな。特に胡瓜、牛蒡、茄子なんかの味噌漬けは最高だぜ。かなりでかい桶に入ぇった味噌に漬け込んでるもんだから、多少水分が出ても問題ねぇ。それに化学調味料なんか一切使ってねぇ。もちろん保存料もだ。天然素材100%だぜ。
 特に忘れられねえのが、握り飯だ。胡瓜、牛蒡、茄子なんかの味噌漬けを刻んでな、こいつをあったけえ飯にの中に入れて、塩握りにして海苔で包むんだ。遠足とか良くお袋が作ってくれて持ってったもんさ。昼飯時になると、中から味噌漬けの味が飯にしみて、外側は塩がしみこんだ海苔が柔らかくなって飯と一体化しこりゃもう最高だ。もうたまらねぇ旨さだったぜぇ。それとな、握り飯に信州味噌を塗って焼きいたやつも味噌のこげた味と匂いがこたえられねぇ。


 名古屋では岡崎の八丁味噌に代表される赤味噌が主流でな、一家一同食えなくて閉口したもんさ、かといってうめえ信州味噌が手にはらねぇ。今と違って通信販売で信州から買える時代でもなかったしな、しゃあねえから車で田舎のばーちゃんちまで行ってはもらってきてたわけよ。
 ところが、町の中の小せぇ家じゃまさか桶で置いとくわけにもいかねえ、気温が高いんで腐っちまうし、近所様への匂いがな。で少量づつしか冷蔵庫に入れとくんだが、そんな小せぃの容器じゃあ、味噌漬けも旨く出来ねえと来たもんだ。それでも味噌汁だけは何とか今までの旨えのが飲めた。
 そうこうしてるうちにばーちゃんが死んじまってから、田舎の家じゃあ手前味噌は作らなくなっちまった。今度は信州の味噌倉まで買いに行ったもんだ。ところが味噌倉の味噌も味噌漬けもあの味には程遠いときたもんだ。それでも近え味の味噌倉をやっと見つけて、最近は通信販売で手に入る用になったがな。


 信州といえばもうひとつ野沢菜があるが、これも信州松本のころはお袋が秋の終わりに毎年大きな桶に漬けていたもんさ。味出しに昆布やら煮干とかいれてな。これも旨かったなあ、古漬けになると飴色になってな、酸味がましてなんとも言えねぇ味になったもんさ。こいつも名古屋に来たら出来なくなった。
 今のスーパーか土産物屋で売ってる野沢菜はまがい物だぜ、本物はあんな毒々しい青緑色はしてねえ、合成着色料の色だな、しかも保存料入りだ。


 今は確かに金さえ出せば欲しいもんはすぐ手に入ぇる、しかもO金利政策のおかげで相当安くだ。スーパーじゃ、味噌も漬けもんも鯵の干物もいろんな食いもんが安く売っている。でも、昔の味とは程遠い代物ばかりだ。
 昔の味はもう食えねえ味だな。「時代は変わる」ってえ言うが、本当に良い時代になったのかねぇ。貧乏な家だったけど、旨ぇ味噌に旨ぇ漬物が食えた高度経済成長以前の時代が懐かしいねぇ。


 おっと、握り飯で思い出した。信州松本じゃあ、握り飯は球を押しつぶしたような丸い形だった。ところが名古屋に来ると三角握りだ。場所によっては俵型握りって聞いた。狭い日本でも所変わりゃあ特色が変わる。田舎もんにはこれも驚いたねえ。ところがいつの間にやら日本全国売ってるのは三角握りが主流になっちまった、コンビニに代表される流通革命のせいなんだろうが、変だとは思わねえかい。

コメント 2 件
  1. シバサキ縫帆兵 より:

    野沢菜は、昔ぁ、スキーに行った民宿とかで、自分とこで漬けたのを出してくれやしたけど、今ぁ、そういうなぁ流行らねぇンすかねぇ。あれから野沢菜ってもんを食ってねぇっすよ。

    それにしても、ほんと、名人技ってぇのはその人を亡くすと寂しいもんでさぁ。

    昔、武蔵野の鄙に住んでた頃、いつもお米を買ってたお米屋さんがありやしてね。この人の米が旨かったンすよ。炊きたてはモチのロン、冷めても旨い、良い匂いのする米でやした。これはその日、その週ごとにいろんな産地の、いろんな品種の米を混ぜて出してた味なんス。10kgが6000円ってとこでやした。当時の「魚沼産コシヒカリ」よりちょいとお安いってぇとこかな?

    ところが、このお米屋さんがうっかり政治なんかに手ぇだして、心の蔵をやられて、ぽっくり逝っちまいやした。それからがてぇへんでさぁ。食える米を探して右往左往、結局、「魚沼産コシヒカリ」でなんとか落ち着いたって寸法で、今でもあっしの親ぁ、あのくそ高ぇ米を食ってるンすよ。

    あっし? あっしが食ってるのは埼玉で獲れた「あかね空」ってコシヒカリを改良した品種でさぁ。10kgが2700円でも、けっこう旨いンすよ? 冷めたらダメなのぁ、まぁ、しゃあないっスけどね、そこんとこは親の食ってるのも似たようなもんでさぁ。

    結局、今ある物も大事にしねぇといけねぇってことなんでやしょうねぇ。

    コンビニで驚れぇたのぁ、あれだ、「恵方巻き」。ありゃあ、なんとかならんもんすかねぇ。

  2. JohnSmith より:

    Welcom aboard ! シバサキ縫帆兵さん∠(^^)

    一度本物の野沢菜食っちまうとスーパー何ぞで売ってるまがいものなんざぁ食えませんぜ本当に。

    聞くってぇとお米屋さんてぇのは、旨い飯になるように、米をブレンドしてるそうですが、本当だったんですなぁ、その親父が逝っちまうとは残念なこって。

    あっしのところは、親父とお袋が年金生活者のくせにあっしの金あてにしてゴルフで獲ってきた賞品の米でさぁ。旨くも無く、さりとてまずくも無く。もっと旨ぇ飯を食わせろというと、もっと生活費よこせときたもんだ。こっちも遊ぶ金がほしんでその米で我慢してまさぁ。まったく只野艦長と来たら読めもしねぇ洋書代に参考資料と称していってぇいくら使ってるのやら。

    「恵方巻き」はね、東京で仕事してたときにコンビニに並んでいて知りやした。同僚の関西人がビックリしてやしたっけ。それまでそんなものがあることも知りやせんでしたぜぇ、地方特色のもんは地方にあるからありがてえもんだと思いやすがねぇ。

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